するとノゾミちゃんは、「じゃあ、あっちに行ってみようか」と私の手を握り、湯船を出ようとしました。
私としてはそのドアが何のドアであるか特別知りたいわけではありませんでした。
ただ苦し紛れに出た質問だったのです。
ところがノゾミちゃんは握った私の手をぐいぐいと引いていくのです。
「かちゃり」
ドアが開きました。
ノゾミちゃんがドアのそばのスイッチを入れると、そこには海水浴などで使う長いすがふたつおいてありました。
でも私が驚いたのは、その部屋が全面ガラス張りになっていて、灯りの灯った広い庭の様子が一望できることでした。
「ね、すごいでしょ」
私はあわてて浴室に戻ろうとしました。
するとノゾミちゃんは「だめだめ、ここに来たならこの景色を楽しんでもらわなくっちゃ」と言って無理矢理私を長いすに座らせたんです。
ノゾミちゃんももうひとつの長いすに寝そべりました。
「ほら、いい気持ちでしょう」
私は気が気ではありませんでした。
「誰かが庭に入ってきたら」
でもお屋敷の周囲は高い塀で囲まれています。
絶対に誰かがいるということは考えられないのです。
にもかかわらず、私は裸でこんなところにいることに居心地の悪さを感じていました。
「ねえ、このまま外にも出て行けるんだよ」
ノゾミちゃんはまた私の手を握って立ち上がり、サンダルを履いて外に出るドアを開けました。
「ほら、誰もいないんだから」
私はノゾミちゃんに言われるままにサンダルを履き、ついに外に出てしまったんです。
中と違って風の冷たさが感じられました。
どきどきしました。
「さっきビデオで見たシーンのように自分がなるなんて」
そんな思いも頭の片隅に少しはあったような気がします。
でもやはり不安の方でいっぱいでした。
私は誰もいないのをわかっていながら、やっぱり片手でからだを隠して歩きました。
なのにノゾミちゃんは私の手をぐいぐいと引いてどんどんドアからは遠ざかっていきました。
ドアはとうとう見えなくなってしまいました。
posted by yorikiyo111 at 10:00|
日記
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